低用量ピルって何?
低用量ピルとは黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)を合わせてできた薬です。
低用量ピルの低用量の部分!
なにが低用量なのかというとエストロゲンの配合量です!
従来の中用量ピルよりも吐き気、むくみなどの副作用を抑えながら適切な効果を発揮し、安全に長期的に服用できるよう開発されたのが低用量ピルです。
最近ではTVやYouTubeでも生理の悩みやピルについての話題が増え、認知されるようになってきました。
しかし、諸外国の低用量ピル使用率と比べると日本人のピル使用率はまだまだ低いのが現状です。
ピルというと避妊薬というイメージが根強く、そのほかのメリットについて認識されていない部分も多いと思うので、低用量ピル服用のメリット、リスクを詳しくご紹介したいと思います。
低用量ピルの効果
避妊効果
毎日決まった時間に飲み続けることで99%以上の避妊効果があります。
・飲み忘れがあると避妊効果が低くなる
・性感染症予防効果はない
以上の点には注意が必要です。
飲み忘れがあった場合も約91%の避妊確率ですが、性感染症を防ぐ効果はないのでコンドームとの併用が望ましいです。
生理痛の軽減
低用量ピルを服用することで排卵が抑制されるので子宮内膜の増殖を抑えることができます。
そのため、経血の量も少なくなります。これによって生理痛が軽減します。
生理痛が起こる原因は血液を排出する時に必要以上に子宮が収縮してしまうためと言われています。
ホルモンバランスの乱れにより必要以上に子宮を収縮してしまうのです。
ピルを服用することで過剰なホルモン分泌を抑え、子宮が痛むほど収縮してしまうことはなくなります。
PMSの緩和
PMS(Premenstrual Syndrome)=月経前症候群は、月経前3~10日の間続く精神的・身体的症状のことです。
- 泣きたくなる
- イライラする
- 暴飲暴食
- 頭痛、眠気
- お腹の張り、腰痛
PMSの不快な症状は、排卵から月経にかけて分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きで起こります。
低用量ピルを服用することで”十分ホルモンが分泌されている”脳に錯覚させることができます。この効果によりプロゲステロンの分泌を抑制することができるのでPMSの症状が抑えられます。
子宮内膜症の軽減
子宮内膜症の原因は明らかになっていません。
経血が腹腔内に逆流することに関係しているのではないかと考えられています。
経血の逆流自体は90%の女性に起こる生理的な現象ですが、月経周期が増えることで子宮内膜症の発生頻度が高まることが分かっているので、この逆流との関係が示唆されています。
昔の人は生涯で月経の回数が50回程度
妊娠回数が多く、月経が止まっている期間が長く、月経周期も今より長かったようです。
現在だと妊娠する回数が少なく、生涯で経験する月経の回数は200回以上
生涯で経験する月経の回数が増え、子宮内膜症の患者も増えています。
10人に1人が子宮内膜症と診断される時代となっているため、ピルによって月経をコントロールすることは一つの予防方法と言えます。
生理日を移動できる
旅行やイベント事に生理が重なってしまう。
そんな心配を解消することができます。服用日を調整することで生理日を移動させることができます。
スポーツ業界においてもピルは使用されています。
生理日と試合が重なってしまうとパフォーマンスが下がる原因になってしまうため、生理日を移動させコンディション調整をすることがあります。
がんのリスクが軽減
卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスクが軽減することが分かっています。
卵巣がんは排卵回数が関係していると考えられています。
ピルを服用すると排卵が抑制されるのでが卵巣がんのリスクが減少します。
子宮体がんはエストロゲン値が高いことがリスクと考えられています。
そのため、ピルを服用しホルモンバランスをコントロールすることでリスクが軽減します。
大腸がんは大腸にあるホルモンレセプターが関係しているのではないかと言われています。
*ピル服用によりリスクがわずかに上昇するがんもありますので服用を開始する際は医師の説明を詳しく受けてください。
肌荒れの軽減
生理前になるとエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少し、プロゲステロン(黄体ホルモン)は増加します。
それぞれのホルモンによる肌に関する作用はこちら!
エストロゲンの作用
・肌のハリ、つや、キメを整える
プロゲステロンの作用
・皮脂分泌を活発にする
生理前は肌のバリア機能が低下し、皮脂分泌が活発になるので毛穴が詰まりやすく、ニキビ・肌荒れが起きやすい感傷になります。
ピルにはエストロゲンが含まれていますので、エストロゲンの減少を抑え、肌のバリア機能を維持することができます。
ホルモンバランスをコントロールできると生理前のニキビができにくくなります!
低用量ピル使用の注意点
最大のリスクは血栓症の確率が上がること
血栓症が起こる確率(1万人あたり)
ピルを服用していない人:1~5人
ピルを服用している人:3~9人
しかし、こんなデータも
妊娠中:5~20人
産後(12週間):40~65人
妊娠中や産後と比べるとピルが原因の血栓症のリスクを高いととるかは人それぞれです。
服用開始前に血液検査を受け、血栓症の発症リスクが高い場合、処方されない可能性もあります!
※禁煙のすすめ
たばこを吸うことは、低用量ピルを使用していない場合においても血栓症のリスクになります。
低用量ピルの副作用である血栓症リスクの増加と相乗効果を起こしてしまう可能性があるため、医師の診断によっては処方してもらえない可能性があります。
喫煙によってPMS、生理痛などを悪化させてしまう可能性もあります。
PMS,生理痛緩和のために低用量ピル服用を検討している方はまずは1日に吸うたばこの量を減らすもしくは禁煙から始めてみてください。
子宮頸がんのリスクが上がる
低用量ピルを長期服用している場合子宮頸がんのリスクがわずかに上がります。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症する可能性があります。
通常HPVウイルスが侵入した場合も一年以内に70%、二年以内に90%のウイルスが排出されると言われています。
そのため、感染したからといって必ず発症するわけではありません。
ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した状態でピルを服用するとウイルスに対する免疫系の抑制が起こり、
ウイルス排除率が低下する傾向にあるため、ピルの服用によって子宮頸がんの発症リスクが高まるとされています。
もう一つの原因としては
低用量ピルには避妊効果があるためコンドームの使用率が低くなってしまうことがあります。
ピルには避妊効果はありますが、性感染症を防ぐ効果はありません。
コンドームの使用率が低くなりHPVに触れる機会が増えることは子宮頸がんのリスクが上がる原因になります。
ピルを飲むことによる副作用ではなくコンドームの使用率が下がったことによるリスクの部分は個人の努力で防ぐことができます。妊娠を望まない場合は性感染症予防の観点からコンドームを正しく使用することが大切です。
月経の悩みは婦人科へ
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